田舎

東京に住んでずいぶんたちました

たてばたつほど

田舎が愛おしくなりました

東京には何でもあります

あればあるほど

何もない田舎が愛おしくなりました

本当は田舎には

何もなくはないのです

東京にあるものがないのです

東京にないものがあるのです

なくてもいいと

思うようなものまであるのです

鼻毛が凍る寒さとか

捨てる場所のない雪とか

年に一度しか出ない郷土料理とか

そんなものが愛おしくなりました

いまさら雪片付けなんてしたくないのに

そんなものすら愛おしくなりました

星なんかつかない田舎料理なのに

そんなものが愛おしくなりました

ちょっとおかしくなったのでしょう

ちょっとすりへってしまったのでしょう

ちょっと穴が空いてしまったのでしょう

いつもそこに見える山で

いつもそこを流れる川で

どこまでも広がっている海で

どこまでも広がっている空で

空いてしまった穴を埋めたいのです

すり減った何かを潤したいのです

おかしくなった何かを戻したいのです

大きくてふわふわのココロを

もう一度取り戻したいのです

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