鋸山見聞録

 最近パートナーが、スケッチに燃えている。暑さで外出する気力がなかったのが、やっと気候が良くなり、外出したくなったのだろう。比較的近場、千葉県の鋸山(のこぎりやま)にある、日本寺に行くことにした。

 国名を冠したご大層な名前のお寺は随分古く、725年に開山されたそうだ。1300年の歴史がある。高さ300メートル程の鋸山の南側にへばりつくように、大仏像や羅漢像が鎮座している。
 それほど高くはないとはいえ、体力もない二人、登るのは難儀と判断し、ロープウェイで先に登ってから降りるルートを選択した。ただ、有り難さ加減は逆コースの方が高いので、ご紹介は逆順にすることにした。

 雨の合間の晴れそうな1日を選んで、出かけた。はずなのだが、雨。誰の行いのせいかと、笑って責任の擦り付け合いをしながら、天気は回復に向かうと期待し、電車に揺られて最寄りの浜金谷駅に向かう。一向に晴れる気配はない。雨の中の山歩きは、さすがに辛い。計画を変更して、山を降りてから行く予定だった隣の保田駅最寄りにある「ばんや」でブランチしつつ、雨が上がるのを待つことにした。幸い、保田駅に到着したころには、雨もだいぶおさまってきた。この分なら、もう少しで上がりそうだ。

 てくてく歩いて着いた「ばんや」は、朝10時にもかかわらず、たくさんの人でごった返していた。

20121020 ばんや

 ここは、港から揚がった新鮮な魚が安く食べられることで人気。さっそく売り切れでお品書きの札が外され始めている。
 パートナーともども、一押しの「朝どれ寿司」850円を注文するが、お客さんが多いせいか、なかなか出てこない。暇なので、お隣にいた丁寧語でお楽しげに談笑する50代の子持ちと思われるカップルの会話に、耳だけ傾ける。どういう関係なのか、勝手な妄想を膨らませていると、店員さんが反対隣の家族連れの注文を運んで来た。手のひら程のかき揚げが2枚、というか、ふた塊。朝からそんなに食えるかよ、というくらいの大きさに目を丸くしていると、その横を舟盛りが通過して行った。なるほど、持ち帰り用パックが10円で販売されるわけだ。安くて新鮮・ボリューム満点なのが、人気の秘密だった。

 どんだけ出てくるんだと心配していた「朝どれ寿司」は、いたって普通の分量だった。

20121020 朝どれ寿司

 今日は、マグロ・ホタテ・ワラサ(ハマチ)・ヒラマサ(ブリに似たアジ科の大型魚)・イカ。マグロは大したことはなかったが、ワラサが味わい深くて美味しかった。

 さて、お腹も満たしたところで、雨もすっかり上がり、いざ日本寺へ。ここからは、二人が実際に歩いたルートとは逆順に紹介する。
 保田駅から15分程の歩くと、日本寺の大仏に向かう表参道に出る。

20121020 日本寺表参道

 森の中、綺麗に手入れされた階段を登る。人がいないせいか、あたりは静寂に包まれている。左に曲がり、右に折れ、歩いていくと、開けた場所に巨大な大仏が現れる。

20121020 日本寺大仏1 20121020 日本寺大仏2

 高さ31メートルの日本一の大仏、薬師瑠璃光如来。左手に薬壷を持った薬師如来だ江戸時代に荒廃し、放置されたままなっていたようだが、昭和になって今の姿に修復されたそうだ。これだけの量の石で出来ているにもかかわらず、威圧感があまりなく、とても優しい大仏に感じられる。開放的な場所にあることと、そのお顔のせいであろうか。親が難病を患っているので、薬師瑠璃光如来の身体守りを持って行くことにしよう。

 ここまでは整備された階段で来れるのだが、ここからは「一応整備」された山道という感じになる。そして、その山道のそこかしこに、世界一となる1553の羅漢像がある。
 自分に似た羅漢像が必ずあると言うのだが、羅漢像は様々な性格や感情を、仕草や表情で表しているので、それが今の自分と重なる像があるのだろう 。その中に、こんな像をみつけた。

20121020 日本寺羅漢像

 お顔自体は強面系なのだが、誰かが載せた1枚の5円玉のお陰で、ちょっと滑稽な感じになっている。洒落の利いた人もいたものだ。

 さて、山道の道のりは、結構険しい。木が斜めに道を遮ったり、狭い岩のトンネルをくぐったり。

20121020 日本寺山道1 20121020 日本寺山道2 20121020 日本寺山道3

 山の斜面の石段を歩き、羅漢像を拝み、また歩く。結構、足にくる。

 さて、この先には、鋸山の頂上、地獄覗きがある。

20121020 地獄覗き1

 絶景である。「切り出された」断崖の上に手すりがついて、下が覗けるようになっているものの、風が強いため、恐怖心の方が勝ってしまう。

20121020 地獄覗き2 20121020 地獄覗き3

 下には、百尺観音を見に来た人が豆粒のように見える。そこを地獄というのは、少し皮肉が効きすぎている。

 地獄覗きから見下ろしていた、百尺観音に向かう。狭い切り通しの先に、昭和になって岩壁を削り出して作った、巨大な百尺観音があった。

20121020 日本寺百尺観音

 そこに向かう道の両側には、石を切り出す時に付いた斜めの規則正しい切り跡が残る。かなりの高さと長さ。

20121020 日本寺切り通し1

 長い時間をかけて続けてきた人の営みの、その大きな証がここにはあった。偉人でも何でもない、歴史には名前も残らない人々の、大きな大きな営みの証に感嘆する。

20121020 日本寺切り通し2

 そして、そんな営みすら易々と越えていく蔓植物。自然の力に、ただただ驚嘆するばかりだ。

 最後は鋸山山頂。ロープウェイで人里へ。

20121020 鋸山山頂 20121020 ロープウェイ
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント